Onewig製作レポート
JHD&Cの医療用ウィッグ「Onewig」は、タイ東北部のブリーラムにあるアデランスの工場で製作されています。今回、メジャーメントを担当しているJHD&C職員が、「アデランス・タイ社」の工場内部を、見学させていただきました。
皆さまからのお問い合わせも多い「ウィッグ製作工程」、しっかりレポートいたします!
タイへ出発
今回のタイの工場見学が、職員にとって人生初の海外。関西空港からバンコク空港へは約5時間の空の旅です。
念願のアデランス・タイ社の工場見学は3泊4日。ウィッグ製作の現場を皆さまにお届けできるよう、はりきって、いざ出発です。
【アデランス・タイ社視察スケジュール】2019年5月13日~16日
1日目
- 日本→タイへ入国
2日目
- アユタヤ遺跡見学
- バンコク→ブリーラムへ移動
- 工場視察1日目
3日目
- 工場視察2日目
- ブリーラム→バンコクへ移動
- SIAM NIRAMITのショー観覧
4日目
- タイ→日本へ帰国
アユタヤ遺跡見学
ブリーラムへは、日本からバンコク経由で乗り継ぎが必要なため、1日目は移動日でした。
2日目、ブリーラムへのフライト前に、アデランス・タイ社のスタッフさまのご厚意で、アユタヤ遺跡見学をさせていただきました。
アユタヤは、タイの中心として栄えたアユタヤ王朝古代都市の遺跡郡です。1991年には、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
職員の後ろに見えているのが「ワットマハタート」。壊れた仏像の頭部を木の根が優しく包み込んでいったという伝説があります。
ここは聖なる場所で、木にうまっているお顔の高さよりも下に映ってはいけないそう。すぐそばで管理番も常駐している神聖なスポットでした。
アユタヤ遺跡近くの道路には「象通行注意」の看板がありました。
アデランス・タイ社 ブリーラム工場へ到着
バンコクから飛行機で1時間。そして空港からは車で約30分。アデランス・タイ社 ブリーラム工場に到着です。
工場の周りは、木々に囲まれた自然豊かな地域でした。
忙しい作業の手を止めて、アデランス・タイ社のスタッフの皆さんが記念撮影にご協力くださいました。
さすが微笑みの国タイ、皆さん笑顔がとても素敵です!
アデランス・タイ社の正面玄関です。
ここで製作された、色とりどりのウィッグが飾られています。
サンタさんのウィッグは真っ白でフサフサのおひげもあり、誰が着用しても完璧に変身できるほどのクオリティーでした。
真剣にメモを取るJHD&C職員(手前左)
はじめに、アデランス・タイ社のスタッフさまに、会社概要の説明をしていただきました。
地域の人々に寄り添った様々な社会貢献活動を行ったり、また、ウィッグを製作する過程で出るゴミを再利用した、お花の装飾品も作っているそうです。
タイの人々との交流を大切にしているのが強く伝わってきました。
現地の日本人のスタッフさまも、タイ語がペラペラなのです!
【目次】
【専門ワード】
- ウィッグ作成指示書
- メジャーメントの時に、レシピエントの型サイズや情報を記入する書類。
- 毛植え指示書
- 毛植えに関する指示が記されている書類。
- カーリング
- ウィッグに毛植えしたとき、自然な毛流れになるよう、ゆるいパーマをかけること。
- ネープ
- うなじの生え際から数センチ上の部分までの、えりあしのこと。
- キャップ
- ウィッグの土台となる部分のこと。見た目は水泳キャップそのもの。
- ファイバーセクション
- 直訳すると「繊維部門」。毛髪に関する工程をしている部門のこと。
- 溶剤(1液)
- 一般的なパーマ1液に強化剤を混ぜたもの。ウィッグを着用している時、毛髪が切れたり傷んだりするのを防ぐ効果がある。
- 溶剤(2液)
- 通常のパーマ2液のこと。
- 処理毛
- ウィッグに使用するための加工が済んだ毛髪のこと。
詳しくはトリートメント処理工程レポート参照。 - スキン
- 人工皮膚のこと。Onewigでは、おでこの生え際から頭頂部までを覆う部分に使用している。表から見ると、自然なつむじ(地肌)のような印象を与える。
- もみあげ
- 顔の横(耳の前)に生えた髪の毛の一部分のこと。
- ブロー
- ブラシを使ってドライヤーの風を当て、髪についたクセを直すこと。
- Onewig
- JHD&Cで提供している医療用ウィッグのこと。
Vol.1「ウィッグ作成指示書の修正」
ウィッグ作成指示書をタイ語に翻訳
メジャーメントの時に記入したレシピエントの「ウィッグ作成指示書」を、アデランス・タイ社のJHD&Cのウィッグ製作担当スタッフが受け取ります。
日本語のできるスタッフによって、「タイ語への翻訳」を行います。
キャップのサイズ・毛髪の長さを修正
各工程の職人さん向けに翻訳し、「キャップのサイズ変換」「どの位置にどれくらいの量の毛髪を植えるのか」「毛髪を植える向き」などの指示を記入します。
この用紙が、ウィッグを製作していただくためにアデランスへ提出している「ウィッグ作成指示書」です。青字で記入しているのは、毛植えを担当する職人さんへの指示です。
ここに記入されている情報を元に、職人さんが毛植えを行います。
タイでは、偽造防止のために青インクのペンを用いるようです。
続いて、手作業で毛植えを行う基となる「毛植え指示書」を作成します。頭の形をこまかくブロック分けし、番号を振ります。この番号は、植える毛髪の種類や方法を指しています。
このプロセスにより、より自然な風合いのウィッグに仕上がります。
また、ウィッグのネットは、蜂の巣のように「6角形」がつながってできています。
そのため、指示書の図形も6角形で記されています。
6角形の中央から伸びている矢印の向きが、毛髪を植える方向の指示です。
このように、ウィッグのキャップは、蜂の巣のように小さな6角形がたくさん繋がってできています。よく見ないと分からないほどの小ささです。
白い糸は、毛植え指示書で番号分けされているものを、実際にブロッキングしたものです。およそ4cmの幅でブロッキングされています。
実物を見ると、想像以上に細かくブロッキングされているのが分かります。
Vol.2「毛髪を準備する」
指示書に記入された長さの髪を準備します。
JHD&Cのウィッグに使われるのは全て、ドナーの皆さまからご寄付いただいた大切な毛髪です。
アデランス・タイ社では、一般のお客さまのウィッグも製作しているため、他のウィッグで使用している毛髪と混ざってしまわないよう、JHD&Cの毛髪だけを別室にて保管しています。
長さごとに分けられた毛髪は「19種類」。
この中から、指示書に記されている必要な長さの毛髪を取り出します。
よく使用される長さの毛髪は、40~50cmとのことでした。
★ちょっとブレイクタイム★「体験しました」
「せっかく来たのだから、何か体験をしてみたい!」と、アデランスさまにお願いをして、「色の違う毛髪をMIXする作業」をさせていただきました!
これは、同じ髪色でウィッグを作るJHD&Cのウィッグにはない作業なのですが、少しでもウィッグ製作を体験できたらという思いで、いざ挑戦!
普段毛髪を触ることが多い職員も、初めての作業にワクワクドキドキ。
革を縫うような太い針がズラーッと並んだ剣山。
これを使って、手作業で色や種類の異なる毛髪をMIXしていくそうです。
「以前、体験した人が手から血を流した」と聞き、おっかなびっくりでこの表情。
見よう見まねで挑戦してみたものの、綺麗にMIXさせるのは想像以上に難しく、剣山への恐怖心も相まって思うように手が動きませんでした。
やってもやっても一向に毛髪は混ざらず・・・。
綺麗に毛髪が混ざるとグレーに見えるはずが、黒と白のツートンカラーのまま。
幸い、手の皮が厚いおかげで無傷のまま体験を終えることができました。
隣で教えてくださった職人さんは、1分ほどであっという間に綺麗にグレー色へMIXさせていました。さすがの職人技です。
Vol.3「ファイバーセクション」
そんな余談はさておき、本題へ・・・
【Vol.1】で作成された指示書の内容をもとに、パーツごとに毛髪の量を測って分けていきます。
JHD&Cのウィッグに植える毛髪は、6つのブロックに分かれています。
そこで、各部位の毛量を記した指示書を作成し、「使用する毛髪の長さ」「折り返す左右の長さ」「ブロッキング番号」を明記します。
例えば、
- 「40cm」の毛髪を使用する
- 「90g」使用する
- 「25/15」で折り返して使用する
- 「55mm」のカールを付ける
といった具合に、職人さんが作業しやすいように分かりやすく指示しています。
-
指示書に記された重さに従い、スケールを使用して正確に測ります。
必要量の毛髪がすっぽりと入るトレーはお手製。職人さんの工夫と温もりを感じました。 -
こちらは、ブロッキング番号①~⑥のタグです。
ここにも、「使用する毛髪の長さ」「折り返す左右の長さ」「ブロッキング番号(①~⑥)」「ブロッキング番号(①~⑥)ごとの使用量」が記されています。 -
計量済みの毛髪です。
タグを付けて、せっかく計量を行った毛髪のブロックが混ざらないように、細心の注意を払っています。
Vol.4「折り返し部分に目印をつける」
ウィッグに毛植えする毛髪は、折り返して植えられています。
職人さんが毛植えを行うとき、一目見て折り返し地点が分かるよう、ミシンで縫って目印をつけます。布を縫う感覚とは違って、縫われた毛髪を引っ張ると、糸の間からスルスルと抜ける仕組みです。
40cmの毛髪を植える場合「25cm/15cm」で折り返して毛植えしています。
手元の定規で長さを測り、ミシンをかけていきます。
職人さんが毛髪に軽く手を添えるだけで、勢いよくミシンに吸い込まれていきます。
あまりの速さに、折り返し地点がズレてしまうのでは...と心配するほどでしたが、さすがの熟練技。いとも簡単に狙い通りの位置へ糸がかかっていきました。
仕上がりの束を見ても、全て均等な長さに縫われており、感動しました。
Vol.5「カーリング」
毛髪加工の専門工場でトリートメント処理をしたままの毛髪は、直毛です。
詳しくは「トリートメント処理工程レポート」をご覧ください。
ウィッグに毛植えしたとき、自然な毛流れになるよう、ゆるいパーマをかける作業を行います。
といっても、ここでかけるパーマはクルクルなタイプのカールではなく、直毛と見分けがつかないくらいの、ごくゆるいパーマです。
JHD&Cのウィッグは「6つ」の太さの異なるパイプを使い、カールをつけています。
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1.水を染み込ませる
まずは、溶剤(パーマ液)を浸透しやすくするために、毛髪に水を染み込ませます。
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2.ブラッシングする
目の細かいブラシで毛髪をブラッシングし、毛並みを整えます。
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3.パイプで包む
水を付けた毛髪をパイプに巻きつけ、毛髪の下に敷いたペーパーごと包んでいきます。
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4.溶剤(1液)をつける
カールをつけるための溶剤(パーマ液)をつけていきます。
溶剤は、通常のヘアサロンで行う工程と同じで、1液と2液の2種類です。最初につける溶剤は、強化剤(1液)です。
ウィッグを着用している時、毛髪が切れたり傷んだりするのを防ぐ効果があります。
巻き込んだペーパーの上から、強化剤(1液)をかけていきます。 -
5.溶剤(1液)を染み込ませる
溶剤(毛髪の強化剤/1液)を染み込ませるため、壁に立てかけて、10分間放置します。
溶剤にはパーマ液特有の臭いがあるため、風通しの良い場所で、常に換気しながら作業を行います。 -
6.作業台の洗浄
次の工程で溶剤同士が混ざってしまわないよう、作業台を洗い流します。
作業台は溶剤がついても劣化しないよう、また綺麗に洗い流せるよう、ガラスでできています。まずはバケツで水をまき、持ち手の長い水切り用のワイパーを使って、テーブルの上の水気を切り、前の工程で残った溶剤(強化剤)を完全に流し、次に備えます。
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7.溶剤(1液)を洗い流す
10分放置したら、次の溶剤をつけるため、大量の水をかけて、溶剤(強化剤/1液)を洗い流します。
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8.溶剤(2液)をつける
次に2種類目の溶剤、パーマ液(2液)をつけます。
次に2種類目の溶剤、パーマ液(2液)をつけます。
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9.溶剤(2液)を染み込ませる
溶剤(パーマ液/2液)を染み込ませるため、壁に立てかけて、再び10分間放置します。
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10.溶剤(2液)を洗い流す
10分放置したら、溶剤(パーマ液/2液)を洗い流し、コンディショナーを溶かした水に浸け、再び水で流します。
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11.自然乾燥
ある程度乾くまで、外に出して乾燥させます。
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12.乾燥室で乾かす
少し湿っているかな?というくらいまで自然乾燥させたら、乾燥室で完全乾燥させます。
この大きな緑の機械が、毛髪を乾燥させるための「乾燥機」です。
「人間が6人ほど入れるのでは...!?」と思うほどの大きさで、その見た目はまるで金庫のようです。
扉も分厚く、かなりしっかりとした作りです。乾燥室内には、この乾燥機が何台もあるため、室内温度もかなり高く、サウナのようにムワッとしていました。
これが、乾燥の終わったカーリング毛です。
乾燥機から出された毛髪は、空冷室で急激に冷やされカールを固定します。
これから、次の工程が行われる作業場所へと移動します。
Vol.6「キャップ」
JHD&Cの医療用ウィッグは、アデランスの「フォンテーヌ商品」を基準に製作されています。
「キャップ」とは、ウィッグの土台となる部分のこと。伸縮性のある黒いネットが用いられており、これがしっかりフィットしているかどうかが、つけ心地を大きく左右します。
また、自然なつむじに見えるよう、おでこの生え際から頭頂部までを「スキン(人工皮膚)」で覆います。
この工程では、「キャップの大きさ」を微調整したり、「スキン(人工皮膚)」の大きさを変更したりして、レシピエントの頭の形にぴったり合ったキャップを製作していきます。
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スキン(人工皮膚)の大きさは、全部で4種類。
その人に合った大きさのものを「ウィッグ作成指示書」の「頭周」のサイズをもとに決めています。 -
キャップの大きさを微調整する際、レシピエントお一人おひとりの頭の大きさに合わせて「図」と「数値」の書き直しを行い、キャップの「型紙」を作成します。
ウィッグの着用感に繋がる大切な工程のため、ベテランの職人さんによって、何度も何度もサイズの確認を行います。 -
レシピエントの頭の形にぴったり合うように、レースを丁寧に切っていきます。
今、裁断しているのは、頭の両サイドにあたる部分です。
ウィッグは、水泳キャップのような構図で製作されています。表から見ると目立たないのですが、実はトップ(上)とサイド(左右)の布が分かれており、立体的に縫製されています。
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細かい部分もミシンを使って、手早く、丁寧に縫っています。
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おでこの生え際から頭頂部までは、サラサラした材質の「スキン(人工皮膚)」を使用します。完成品を表から見ると、自然なつむじ(地肌)のような印象になります。
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もみあげは、ウィッグを着用する際、左右のバランスを調整するための大切な基準となります。この部分がないと、ウィッグの正しい着用位置「正面はどこか」が分からなくなるのです。
また、この部分には、対角線上に柔らかいワイヤーが入っており、レシピエントの輪郭に合わせて、もみあげを沿わせることができます。
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「ネープ」とは、うなじの髪の生え際から数センチ上の部分までの、えりあしのことを指します。 ここに JHD&Cのタグと、シリアルナンバーを縫い付けています。
頭囲のサイズは、アジャスターで4段階の微調整が可能です。型紙のサイズを調整してキャップを作るこの工程は、およそ2時間かかります。
★ちょっとブレイクタイム★「社員食堂を見学しました」
ここでちょっとブレイク。こちら、工場内の社員食堂です。
社員食堂で調理・盛り付けを行っており、新鮮な食材で作られた、できたての料理をいただくことができます。
他にお菓子や飲み物を扱っている売店もありました。
日本ではなかなか食べられないタイ料理がたくさん並んでいましたよ。社員食堂ではなく、近くの屋台やお店まで食べに行って休憩される方や、ここで持参のお弁当を食べている方もいらっしゃいました。
社員食堂で提供されているご飯は、どれもすごく美味しそう!
集中力を要する専門的な作業なので、皆さん、この社員食堂のご飯を食べてリフレッシュし、午後へのパワーを注入しているのかもしれません。
Vol.7 「毛植え」
【Vol.1】で作成された「毛植え指示書」の内容をもとに、【Vol.5】でカーリングを行った毛髪を植えていきます。
30人ほど座れるような、向かい合わせの横長机が何列も並んでいる作業所です。
サッカーもできそうなくらいの広さでした。
写真奥の横長机の中央には区切りがあり、そこに現在担当している作成指示書を貼り付け、作業を行っています。
指示書には、キャップのブロッキングごとに
- 「どのブロックに何番の毛髪を植えるか」
- 「どれくらいの毛髪(本数)を植えるか」
- 「どれくらいの間隔で毛髪を植えるか」
- 「毛髪を植える方向」
などが記されています。
一人分のスペースごとにパーテーションで区切られ、隣で行われている作業と混ざらないようになっていました。
先端が90度に折れ曲がっている、針のように細いピックを使って、1本1本丁寧に毛植えしていきます。植え方にもきまりがあり、40cmの毛髪を植える場合「25cm/15cm」で折り返して毛植えしていきます。ここで【Vol.4】で行った「折り返し部の目印」があることで、職人さんの作業効率が上がるのです。
毛植え時、左手に少量の毛髪をもち、折り返し部をキャップに当て、ピックを使って素早く植えていきます。その時【Vol.4】で縫ったミシンの糸の間から毛髪がスルスルッと抜けて、キャップへ毛植えされるのです。
毛植えを担当されているのは、この道十数年の熟練の職人さん。
どのような結び方で毛植えしているのか、凝視しても分からないほどのスピードで毛植えされていました。毛植えの工程は、すべてJHD&C担当の職人さんが、1体のウィッグをひとりで最初から最後まで行います。
この毛植え工程には、およそ1週間かかります。
Vol.8 「検品・梱包・発送」
ウィッグを完璧な状態でお届けするため、完成したウィッグに丁寧にブローを施し、毛並みを整えます。
ブローの後、ひとつひとつ丁寧に検品し、箱詰めしていきます。
ウィッグを待っている方のためにも、検品を行うスタッフの方の目は真剣そのものでした。
完成品は出荷日まで、異物の混入を防ぐために一箱ずつ袋に入れ、大切に保管されています。そして、発送直前に袋から取り出して梱包するという、品質管理の徹底ぶりに驚きました。
この後、日本へと運ばれ、大阪のJHD&C事務局で最終検品を行ったのち、レシピエントの元へと届けられます。
こうして、たくさんのドナーの温かい想いが込められたJHD&Cの毛髪たちは、アデランスさま全面協力のもと、JHD&C医療用ウィッグ「Onewig」として生まれ変わっているのです。
今までは、メジャーメント担当職員としてレシピエントの頭の型をとり、出来上がったウィッグを検品するだけで、具体的な製作工程は一切知らずにいました。
今回の視察を通して、各工程が全て手作業という事実にただただ驚くばかりで、こんなにもたくさん人の手によって、JHD&Cのウィッグが製作されていることを知り、改めてアデランスさまのご協力に、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
JHD&Cのウィッグを担当してくださっているアデランス・タイ社の皆さんは、この道十数年という熟練の職人さんばかり。
そんな貴重な技術をお持ちの職人さんによって作り上げられる、貴重なウィッグ。
もちろん、毛髪をお寄せくださるドナーの皆さまのお気持ちも、しっかり込められています。
これからも、アデランス・タイ社の皆さんや、職人さんたちへの感謝の気持ちを忘れず、日本でJHD&Cのウィッグを待っている子どもたちのためにも、自分のできることを頑張ろうと思いました。
貴重なお時間を割いて視察にご協力くださった皆さまに、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
★おまけ★
視察後、タイで有名なショー「SIAM NIRAMIT」に案内していただきました。
このショーでは、タイの歴史と文明を学ぶことができます。
とにかくステージが大きく、席数は2000を超え、高さはギネス記録に登録されているのだとか。ショーでは、ステージ内に川が出現し、そこをカヌーで横切るという演出もあったほど。あまりの規模の大きさに目を疑いました。
写真は、施設内にいた大人の象。柵もないところを自由に歩いていました。
バナナを持った人のところへ、人懐こく鼻を伸ばす姿がとても可愛らしかったです。
そんな可愛いしぐさとは裏腹に、奪いとるような勢いで、強引に手からバナナを取っていきます。
生まれて二十数年、象は檻の外からしか見たことがなく、こんなにも間近で触れ合えるというシチュエーションに、気分が最高潮に達した職員。
ためらうことなく象へ近づいていき、足と頬をなでなでさせてもらいました。
見た目を裏切らない「硬く乾燥したお肌」を触って、初めて象の感触を知った職員なのでした。
今回、最大の目的でもある「ウィッグ製作工程」だけではなく、「タイの歴史や文化」「タイの方々のあたたかな温もり」に触れ、今までにないくらいの素敵な体験をすることができたタイ視察でした。